事業譲渡や合併等、株主総会の特別決議が必要な組織再編が生じた場合、議決権の有無に関わらず、反対株主には株式買取請求権が認められます(会社法469、785条 等)。

そして、会社は株式を「公正な価格」で買い取る義務を負うことになります。

この点、買取価格について旧商法では、組織再編がなければ有したであろう公正な価格(旧商法245条の2)と規定していましたが、現行法では、実務上、上記価格に限らず、組織再編による相乗効果の分配も含めて算定するものと解釈されています。

この様に、株式買取価格の算定方法の選択肢が広がったことにより、会社と株主間の買取価格の協議が調わず、裁判所での価格決定を申立てるケースが増えることも予想されます。

申立手続としては、まず会社が組織再編の効力発生日の20日前までに、その旨を株主 に通知します。当該再編に反対の株主は、株式買取請求権を行使し、会社との間で買取価格を協議します。

効力発生日から30日以内に協議が調わなかった場合、株主は裁 判所に対して買取価格決定の申立てをすることができます。

なお、申立期間は協議期間満了後30日以内です。

上記手続を踏めば、裁判所に公正な価格を決定してもらうことができますが、実情としては、鑑定人費用の負担や会社側の資料開示等の問題で価格決定が難航しているようです。

しかし、今後事例の増加に伴い、より公正な価格決定がされていくことが期待されています。

また、企業側は、株主に対して適正価格を提示することが求められていくことが予想されますので、今後の動向を注視する必要があるものと存じます。

株式買取請求権
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