そのような場合に備えて何らかの担保を条件とする場合もありますが、全ての契約において担保を要求できるわけではありません。
この点、動産売買契約により売掛債権を有している場合など、民法311条に該当する場合には先取特権が生じることになります。
先取特権とは、特定の動産から他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利のことを言います。
すなわち、当該動産に関しては他の債権者より優位な立場に立っていると言えます。
しかし、売主が引き渡した特定の動産が既に買主の元に存在せず、第三者に転売されてしまっている場合等もあり得ます。
そのような場合には、買主が第三者より転売代金を受領する前に、当該転売代金の債権差押を裁判所へ申し立てること等の法的手続を踏む必要があります。
上記の経緯に基づいて、先日顧問先の会社から依頼を受けて、転売代金の債権差押を申し立てた件がありました。
当該差押により、最終的には顧問先会社は債権を回収することができ、他の債権者に優先して弁済を受けることができました。
取引先企業の経営状態を的確に把握し、迅速に対応することが重要であった一場面ではないかと存じます。
動産の先取特権