取締役が突然辞任するなど、法律又は定款で定められた役員数を欠ことになる場合があります。
そのような場合、辞任した取締役がいなければ、会社としての様々な決議等は全くできなくなってしまうのでしょうか。
この点、任期の満了又は新たに選任された取締役が就任するまで、旧取締役はなお取締役としての権利義務を負うとされています(会社法346条1項)。
そして、後任の取締役が決定されないまま登記の抹消請求がされたとしても、法務局はかかる抹消登記請求に応じる必要はないとも言われています(最高裁判所・昭和43年12月24日)。
仮に役員として第三者への責任を問われかねない事態になった場合には、辞任していた取締役には少し責任が重い規定のようにも思えますが、会社法及び最高裁としてはより取引の安全を重視し、会社と取締役間の問題として処理すべきと解釈されています。
また、上記事態を回避する方法として、事前に補欠の役員を選任しておく方法(会社法329条2項)や仮の役員を選任する方法(同346条2項等)等も整備されています。
役員の法定最低員数が欠けてしまったという緊急時には、上記の考え方及び法的手続等を参考に適切な対応をして頂ければと存じます。
取締役等の法定員数欠員時の対応