先日、顧問会社より「オフィスビルの賃貸人が倒産しましたが、敷金はどうなるのでしょうか。」という質問がありました。
この点、敷金の法的問題に関しては、賃貸人が申し立てた手続によって差異があります。
まず、賃貸人が破産申立をした場合、賃借人は潜在的には敷金返還請求権を有しているため、破産手続中に債権が現実化する場合に備えて、管財人へ債権届を提出することができます。
また、破産手続中の賃料を管財人へ弁済する場合には、敷金返還請求権の限度において弁済額の寄託請求をすることができます(破産法70条)。
次に、会社更生手続及び民事再生手続の場合、敷金返還請求権に関して、それぞれの手続開始時における賃料6か月分に相当する額の手続開始後の弁済額を限度として共益債権とすると規定されています(民事再生法第92条3項、会社更生法第48条3項)。
大まかに言えば、共益債権化されれば一般債権に比べて優先弁済権を得ることができます。
以上のように、「賃貸人の倒産」という同じ出来事であったとしても、賃貸人が申 立てた法的手続の種類、当該賃貸借契約の残期間の予定、敷金総額等を考慮した上で、それぞれ法的に的確な対応をしていくことが重要になります。
賃貸人の倒産に伴う敷金