東京地方裁判所より、破産管財人として委嘱を受け、約10年ほど管財手続に従事していますが、不動産の滞納管理費についての取り扱いが難しかったケースがあ りました。
具体的には、収益物件としての賃貸不動産であり、高級マンションでもあったため、破産開始決定時にはかなりの管理費が滞納されていました。
同管理費の法的性格に関する難しい議論はともかく、破産開始決定日を基準として、破産債権となるか、財団債権となるかという大きな区別基準があります。
その上で、管理費については、区分所有法に基づく先取特権が認められているため、管財人として任意売却を行うことで、買主負担として財団増殖を図らなければならない状況でもありました。
そして、破産者及び買主の法的関係としては不真正連帯債務と考えられているので、管理組合としては、基本的には買主へ請求することが一般的になるようです。
このように破産管財人として対応する場合には、法的根拠はもちろん実務上のメリットデメリット等も考慮した上で、迅速な対応が求められることになります。
そのため、管財人の職務に従事することで、反対の立場にある不動産の所有者又 は管理組合としてどのように対応すべきかという点についても、非常に参考になったケースでした。
管財手続における不動産の任意売却