顧問先より、海外企業との契約書チェックの依頼がありましたが、日本法での考え方がそのまま適用されるかというのは相手国との兼ね合いもあります。

そこで、今回は特に問題となり得る準拠法と国際裁判管轄の考え方のポイントについて、日本法を中心に簡潔にご説明させて頂きます。

日本法を前提とすれば、法律行為の成立及び効力の準拠法については、基本的には当事者間の合意に基づくことが原則となり、当事者の意思が明らかではない場合には取引の中心となる国の法令を準拠法とすることもあります。

但し、準拠法を定めていない場合には、当該法律行為の可否が明確にはなりにくいため、準拠法としてどの国の法律が適用されるかを明らかにしておくべきと言えます。

また、裁判管轄についても、当事者はいずれの国のどの裁判所に指定することも原則として自由とされています。

但し、当事者の合意によって裁判管轄を定めている場合でも、提訴を受けた裁判所はその国の法律に照らして裁判管轄の有無を判断することになります。

そのため、当事者の指定した裁判管轄がそのまま認められないこともありますので、指定裁判地の法律が国際的轄の合意の有効性について、どのような立場を採用しているかにも留意する必要があります。

以上より、できれば準拠法と合意管轄裁判所はセットで規定しておくべきと言えます。

準拠法の国と管轄裁判所の国が異なっていても裁判自体は行われますが、例えば、日本国内の裁判所で海外の法律に基づき裁判を行うという事態もあり得ることになります。

そのため、契約締結交渉においては、できる限り国際裁判管轄及び準拠法を当方側に持ってくるように交渉を行うべきと言えます。

少なくとも日本法又は日本の裁判所であれば、ある程度まで法的リスクを想定することができますが、例えば、日本で認められていない懲罰的損害賠償や日本では馴染みのない慣習法等の存在も無視できないからです。

準拠法と国際裁判管轄
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