先日、顧問先の社長から、親戚の子どもが借りたマンションの連帯保証人となっていた件で、 オーナーから高額の滞納家賃が請求されたという相談がありました。
この点、連帯保証人であれば、法的にはオーナーから滞納家賃を請求された場合、全額の支払義務が認められてしまうことが原則です。
しかし、例外的に、滞納家賃を請求することが信義則に反するとして否定される場合もあり得ます。
例えば、最高裁平成9年11月13日判決において、「賃借人が継続的に賃料の支払を怠っているにもかかわらず、賃貸人が、保証人にその旨を連絡するようなこともなく、いたずらに契約を更新させているなどの場合に、保証債務の履行を請求 することが信義則に反するとして否定されることがあり得ることはいうまでもない。」との説明もあります。
上記判例は、滞納が見過ごされたまま更新までされていたという特殊なケースについての説明ではありました。
しかし、下級審において、一般的に更新のない公営住宅の賃貸借契約の場合においても、連帯保証人に対する請求が権利の濫用として判断された事案もあります。
上記はあくまで例外的な事例とは評価されるでしょうが、事実関係によっては保証人側の反論として非常に参考になる裁判所の考え方と言えるでしょう。
他方、顧問先においては、マンションのオーナー側としての立場も多いのですが、賃借人のみではなく、連帯保証人に対する催告や滞納状況の報告なども怠らないよう注意しておく必要もあります。
上記例外的事情に該当してしまうと、オー ナー側からみれば、連帯保証人に対して請求できなくなってしまう可能性もあるからです。
賃借人としても賃貸人としても参考になる裁判所の考え方ではないかと存じますので、よろしければご参考にして頂ければと思います。