今回は、「不動産賃貸借と民法改正」についてです。
国会にて審議予定の民法改正法案があります。
重要な法案ですので、国会で成立したとしても、施行は数年先の可能性があります。
この点、渋谷ビルオーナーの勉強会において、当職が 「民法改正についての留意点」の講演を来月行うことになりました。
ビルオーナーのための勉強会ですので、当日は賃貸人側からの目線に沿って解説する予定ですが、特に保証人についての講義が重要と考えています。
そこで、今回は来月の講義で中心となる民法改正における不動産賃貸借契約の保証人について、簡単にポイントを説明したいと思います。
まず、保証人において、極度額という責任の限度額を決めることになります。
これまでは賃貸借契約に関する賃借人の責任一切を保証人が負担することが原則でした。
しかし、改正後は、極度額の範囲で(例えば、極度額を1000万円とすれば、1000万円の範囲のみ)、保証人は責任を負えばよいことになります。
保証人からみれば、責任の範囲は明確になるメリットがありますが、賃貸人側からみれば、保証人に請求しても全ての損害をカバーしきれないリスクを負うことになります。
その他にも賃借人の財務状況を保証人に情報提供しなければならないなど、 今回の改正では細かな点も整備されることになりそうです。
保証人の点以外にも、原状回復義務の内容が明文化されたり、修繕義務の権利化など、不動産賃貸借に関連するだけでもかなりの改正が予定されています。
まだ法案の内容は確定していませんが、明治時代以来の120年ぶりの大改正となりますので、今後の法案の内容については十分に注視されることをお勧め致します。
不動産賃貸借と民法改正