今回は、「会社は誰の物か?」についてです。

先日、弁護士ドットコムより依頼を受け、稲盛和夫氏の「株主よりも従業員が一番」という考えは、会社法とは矛盾しませんかという説明を求められました。

具体的には、稲盛氏がある記事において、株主還元を求めるアクティビストに対して、
「会社をつぶして社員を路頭に迷わせるわけにはいかない。安全に経営するためには余裕が必要。わがままな要求には毅然と対応する。
社員を大事にし、喜んで働いてくれれば会社の業績は上がる。それは株主にとってもいいことで、決して対立しない。」
として、「従業員第一」を掲げたとのことでした。

この考えは法的にはどのように解釈するのでしょうかと聞かれました。

そもそも「法的に会社は誰の物か」と言われれば、株主の所有であることは間違いありません。
あくまで従業員は、会社と労働契約を締結しているに過ぎません。
また、銀行などの債権者や会社の取締役についても、会社とはそれぞれ金銭消費貸借契約や委任契約を締結しているに過ぎません。

上記結論は法的には明らかですが、株主と従業員の利益は究極的には対立するわけではないとも考えます。
株主も従業員も、どちらも大切であり、その時の状況や経営者の考え方によって、優先順位が変わるということでしょう。
稲盛氏は、従業員を大切にすることで、長期的には株主の利益にもなると考えているようです。

会社は誰の「ため」のものかと考えた場合、「株主」「経営者」「社員」「顧客」など全ての利害関係者が当てはまると思います。
従業員は、会社を支配する権利はありませんが、その力が会社運営に必要不可欠であることは言うまでもありません。
従業員の満足を考え、顧客へのサービスも行き届いてこそ、会社(=株主)の利益に繋がると考えます。

株主・従業員・経営者・取引先など、利害関係者全ての利益を最大化させることは難しいかもしれません。
しかし、経営者として、それぞれの場面ごとに、優先順位を決断していく能力が必要とされているのではないかと感じます。

上記のような内容で、下記URLにて、弁護士ドットコムやYahoo!ニュースに掲載されていますので、 少しでも皆様のご参考になりましたら幸いです。

https://www.bengo4.com/houmu/n_4007/
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151130-00004007-bengocom-soci

会社は誰の物か?
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