先日、弁護士ドットコムより依頼を受けて、「クックパッド」創業者と現経営陣の対立について、「株主提案」についての記事を寄稿しました。
具体的には、株主提案等に関する質問に対して、以下のような回答をしています。
「クックパッド」の創業者が行った株主提案というのは、端的に言えば、株主総会で議論する決議事項について、株主の意見を反映させるために一株主が事前に提案できる制度です。
同制度を利用するためには、6ヶ月以上の保有条件などがありますが、株主として行使できる権利であり、今回は創業者が株主として同制度を利用したものと言えます。
この点、創業者の提案した議題が株主総会において取り上げられたとしても、取締役会の選任及び解任については、決議要件として少なくとも過半数が必要である点には注意が必要です。
創業者の所有は43%の議決権ですので、出席議決数にもよりますが、原則として一人では提案議題を可決できないことになります。
そこで、様々な作戦を検討することになりますが、その一つにプロキシーファイト(委任状争奪戦)があります。
委任状争奪戦というのは、他の株主から、「私の議決権行使をあなたに委任しますよ」という内容の委任状を取り付けて、自分の持っている議決権の数を増やすというやり方です。
最近では、大塚家具の騒動においても熾烈な委任状争奪戦が繰り広げられています。
このように取締役の選任及び解任については、仮に43%の株式を保有する大株主として株主提案によって議題を提案することはできたとしても、それだけで自らの思い通りに取締役を選任したり、解任したりできません。
株主提案は、企業の方向性を検討する一つの指針とはなりますが、経営の主導権については今後の趨勢をきちんと見守っていく必要があります。
上記のような内容で、下記URLにて、Yahoo!ニュースや弁護士ドットコムに掲載されていますので、少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160201-00004234-bengocom-soci
https://www.bengo4.com/houmu/12/1257/n_4234/