今回は、「瑕疵担保責任」についてです。
先日、不動産オーナー経営学院(REIBS)において、不動産オーナーとして注意すべき点について、瑕疵担保や共有権等を中心に2回目の講義をしました。
その講義の中から、今回は、民法改正とも関係する「瑕疵担保責任」について説明します。
まず、現民法の「瑕疵」という概念は法的解釈に委ねられていますが、その解釈にも変遷があり、改正民法にも繋がっています。
そもそも「瑕疵」とは「目的物が通常備えるべき品質・性能を有していないこと」という客観的な要素が重視されていました。
しかし、現在では、客観的要素に加えて、「当事者がどのような品質・性能を予定していたか」という当事者の合意や主観面が重視されるようになっています。
不動産取引でいえば、「売主と買主が、取引不動産について契約時に予定した品質を備えているか」という観点が重要になります。
ご参考までに、フッ素が含まれていた土地について、有名な最高裁判例があります。
客観的には瑕疵ある土地と評価されそうですが、「売買契約締結当時、フッ素が有害物質である旨の認識は当事者間でなく、フッ素が含まれていない土地という合意は当事者間では存在しなかった」旨判示して、瑕疵担保責任を否定しています。
上記趣旨を受けて、改正民法においては、「…引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」に、買主は責任追及できるとされ、「瑕疵」という文言がない条文へ変更されています。
そのため、特に民法改正後においては、「契約当事者間でどのような合意をしたか」という主観面が非常に重要になると言えます。
以上の通り、不動産売買においても、当事者間において予定していた内容が非常に重要になります。
契約書作成にあたっては、主観面の認識等についても十分に確認した上で手続を進めた方がよいと言えるでしょう。