今回は、「インターネット検索業者に対する検索結果削除の申立て」です。
ウェブ上で拡散されることが好ましくない「個人や企業に関する情報」が流布されるリスクが高まるにつれて、グーグル・ヤフー等の検索エンジンの対応もより重要になっています。
個人・法人に限らず、ウェブ上にプライバシーを侵害するような情報が流されていますが、どうしたらよいでしょうかなどの相談も増えてきています。
この点、平成29年1月、「自己のプライバシーに関する記事等が掲載されたウェブサイトのURL・表題・抜粋を検索結果から削除するよう求められる場合」についての最高裁判決が出ています。
最高裁は、①当該プライバシーの事実を公表されない個人の法的利益と、②当該URL等を検索結果として提供する理由に関する事情を比較して、①の利益が②を上回る場合に削除申立てを認めるという判断をしました。
具体的には、記事の内容、当該URL等が提供されることによってその者が被る具体的被害の程度、記事の目的・意義・必要性等の諸事情を考慮して判断するとされました。
同最高裁判決は、従来の「記事を掲載したウェブサイトの運営者」に対する削除申立てではなく、「グーグルという検索エンジン」に対する削除申立てについて判断した点にも大きな特徴があります。
但し、本判決においては、結論として削除申立てを否定しています。
そのため、どのような場合に、①プライバシーを公表されない個人の利益が、②当該URL等を検索結果として提供する理由に関する事情を上回るかについては、さらなる判例の集積を待つ必要があるでしょう。
最後に、先日、弁護士ドットコムより依頼を受けまして、「職場のパワハラと解雇」についてウェブ上にコメントしています。
上記も含めて、少しでも皆様のご参考になりましたら幸いです。