今回は、「不動産の瑕疵担保責任期間」についてです。
先日、顧問先より、「売主として、ある個人に不動産を売りたいのですが、その場合の瑕疵担保責任の期間を短くしても問題ないでしょうか。」という質問がありました。
この点、今回の顧問先は不動産業者でしたが、不動産業者である場合と一般事業者の場合とで、瑕疵担保責任の期間について基準が異なることに注意が必要です。
まず、不動産業者が売主として、個人に売買する場合には、宅建業法40条によって、瑕疵担保責任は2年以上の期間としなければならないと義務付けられています。
次に、不動産業者でない一般事業者の場合には(法人も個人も含みます)、上記宅建業法の制限は受けません。
しかし、瑕疵担保責任を一律排除できるかと言うと、買主が一般消費者の場合には、消費者契約法8条及び10条により、不利な内容は無効とされている点に注意が必要です。
それではどの程度の瑕疵担保責任期間を設定すればよいのでしょうか。
この点、現時点では確定的な判例はありませんが、東京地裁の裁判例(平成22年6月29日)において、瑕疵担保責任を3ヶ月とする特約は無効という判断は参考になります。
また、民法570条及び566条3項によって、瑕疵担保責任は1年とされています。
そうなると、少なくとも1年程度の瑕疵担保責任を設定しておいた方が問題になりにくいと考えられます。
なお、数年後に予定されている民法改正によって、瑕疵担保責任は条文が変更されることになります。
そのため、今後も十分なフォローが必要と言えるでしょう。
不動産の瑕疵担保責任期間