今回は、「労働者の過半数代表者との協定」についてです。
先日、「労使協定の締結に当たって注意すべき点はありますか。」との相談を受けました。
近年は働き方改革という大きな流れがありますが、一定の条件において会社の使用者は「労働者の過半数を代表する者」と協定を締結することができます。
同協定は就業規則の不利益変更やフレックスタイムの導入等にも利用できます。
この点、過半数が加入する労働組合が代表となることが多いですが、労働組合が存在しない場合には過半数の代表者を代表する者(以下、「労働者代表」といいます。)が使用者と協定を結ぶことになります。
そして、労働者代表は、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること」(労基法施行規則6条の2第1項等)が必要とされています。
上記適正な手続をすることなく労働者代表を選定し、仮に協定を締結したとしても、裁判所において将来的に協定無効と判断されるリスクがありますので注意が必要です。
具体的には、最高裁判所(平成13年6月22日)において、親睦団体の代表が「過半数代表者」となって締結されたいわゆる「36協定」の有効性を否定し、当該36協定を前提とする時間外労働命令の効力を否定する判断がされました。
同判例は、親睦団体の代表者を自動的に「過半数代表者」としていたことが違法と判示されたものであり、親睦団体の代表者が民主的な選出手続によって「過半数代表者」となる可能性まで否定しているわけではないことに注意が必要です。
適法性の判断において、民主的方法によって選出されているかどうか重要になりますので手続には十分にご注意下さい。
労働者の過半数代表者との協定