今回は、「広告の優良誤認表示」についてです。
先日、顧問先より、「商品の広告宣伝をする時に、品質の良さを一番にアピールしたいのですが、注意点はありますか。」という質問を受けました。
この点、広告宣伝に関する法的規制は多岐に及びますが、いわゆる景品表示法における「優良誤認表示」に該当するような表現がないかをまずは注意する必要があります。
大きなイメージとしては、広告表示によって実際の内容よりも著しく優良と一般消費者を誤認させた場合には、「優良誤認表示」(景品表示法5条1号)として課徴金処分等を受けるリスクがあります。
とはいえ、優良誤認表示に該当するか否かの判断はケースバイケースと言わざるを得ないのですが、実質的な判断に至る前に、形式的判断によっても優良誤認表示とされてしまうリスクがある点にも注意が必要です。
具体的には、消費者庁等において、当該広告表示が優良誤認表示に該当するか否かの判断に必要がある場合には、その表示をした事業者に対して、15日以内にその表示の裏付けとなる「合理的な根拠」を示す資料を提出するよう求めることができるとされています。
その上で、資料提出を求められた事業者が期間内に資料提出しない場合や、資料提出しても合理的根拠とは認められない場合には、その表示は「優良誤認表示」とされて、誤認の排除等を求める措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります(景品表示法7条2項・8条3項)。
すなわち、消費者庁がグレーと評価しうる広告があった際に、各事業者へ合理的根拠を示す資料を提示せよとまず指示することができ、同指示に対して15日以内に合理的根拠を示せなければ、実質的な内容の判断に至るまでもなく「優良誤認表示」と認定されてしまうリスクがあるということになります。
そのため、商品の広告宣伝を行おうとする事業者におかれましては、当該表示を行うに当たり、広告表示と実際の整合性に合理的根拠があることはもちろん、その表示を裏付ける「合理的な根拠」を示す資料についても、予め十分に精査しておくことが重要と言えます。