今回は、「退職後の有休休暇」についてです。
先日、弁護士ドットコムより依頼を受け、 「もらえるはずだった有給について、退職後に請求できるか?」 等について、ウェブ上でコメントさせて頂きました。
https://www.bengo4.com/c_5/n_13082/
上記については、従業員側からみた法的見解をコメントしていますが、企業側からみた場合において、本件対応における注意点をコメントさせて頂きます。
まず有給休暇については、日数等を含めた法的な取得要件を満たせば、正社員及びアルバイト等に関わらず取得する権利が発生しますので、この点には正確な知識が必要です。
次に、上記の法的知識を正確に理解した上で、従業員の有休取得行為を会社として妨害しないように十分に指導することが必要です。
会社側において、積極的に有休取得行為を侵害した場合には、パワハラに該当する可能性もありますし、損害賠償が認定された裁判例もありますので、十分に注意が必要です。
また会社において有給買取義務はなく、むしろ従業員の権利を侵害しかねないので、労働法の趣旨からして積極的な買取は違法とされています。
そのため、退職予定の従業員から有給休暇の取得を求められた場合には、基本的には有効な有給休暇を認めてから退社させることになります。
しかし、労使間で真摯な同意があれば、退職時に残存した有給休暇分を買い取る方法もあり得ますので、このような実務的運用も知っておくべきでしょう。
労務問題については正確な法的知識に加えて、実務的な運用にも注意が必要ですので、専門家のアドバイスに沿って丁寧に対応することが重要な場面と言えます。
退職後の有休休暇