今回は、「違約金条項と消費者契約法」についてです。
先日、顧問先より、「自動車販売の解除について違約金条項を規定しているのですが、買主から解除の違約金を支払うことはできないと言われました。
どのように対応したらよいでしょうか。」との質問を受けました。
自動車販売等において、「買主の都合で契約を撤回した場合には車両価格の20%を違約金として支払う」等の違約金条項が規定されていることがあります。
この点、消費者(個人)と事業者との契約においては、消費者契約法が適用される場面も想定されます。
消費者契約法では、「違約金条項において定められた金額が事業者に生ずべき平均的な損害額を超える部分については無効」とする旨が規定されています(消費者契約法9条1号)。
事業者の中には、高額な損害賠償を予定して消費者に過大な負担を強いるケースもないとは言えないため、上記規定が設けられています。
実際の裁判例においても、原告(事業者)が被告(消費者)の解除について、車両代金の15%(17万8500円)を求めた事案において、同請求を棄却しています(大阪地裁平成14年7月19日)。
同裁判例では、被告が注文の2日後に解除しており、原告において入金後に自動車を手配する流れであったため、原告に具体的な損害は発生していないこと等を理由としています。
消費者契約法9条1号の「事業者に生ずべき平均的な損害額」については、事業者側にその主張責任があると考えられています。
また、「平均的な損害」とは、「契約の締結及び履行のために通常要する費用」と解されており、逸失利益(その行為がなければ得られていたであろう利益)はこれに当たらないと解されています。
消費者契約における違約金条項については部分的に無効と判断される可能性等がありますので、事業者としては、実際に生じた損害額について証拠資料を用意しておくことが重要といえそうです。
以上の通りですが、少しでもご参考になりましたら幸いです。