1、事案の概要
IT企業の顧問先より、取引先がシステム開発費用(約1800万円)の残金(約1000万円)の支払いをしないのでどうにかして回収したいとの相談を受けた。
顧問先からのヒアリングにより、システム開発費用の半金(約800万円)については支払いを受けている上に、相手方との合意等についてもチャット等において立証が可能であると判断できた。
顧問先より、相手方は資力が乏しいため裁判で勝訴したとしても回収できるか不安である旨を伝えられていたため、まずは、預金口座の仮差押手続を進めることとした。
その結果、約1000万円の仮差押えに成功し、その後の裁判においても証拠資料を揃えた上で立証を行った結果、全額を支払う旨の和解を成立させ、事前に仮差押えを行っていた金員から回収することができた。
2、ポイント
取引先が理由も不明確なまま、売掛金等を支払わないケースもあると思いますが、その場合、相手方の対応等によっては任意の交渉がセオリーではありますが、まずは財産関係を調査し、差し押さえてしまうことができればベストです。
仮差押えの手続を弁護士に依頼せずに行うことはそもそも困難である上(請求権を証拠により疎明しなければなりません)、密行性をもって行う必要があり、預金債権が充足しているタイミング等を見計らう必要もあります。
また、仮差押えだけでは回収はできず、その後の訴訟において勝訴等をする必要もあるため、仮差押えから訴訟対応を見据えた証拠収集等が重要となります。