先日、顧問先より、「土地を貸しているのですが、借地上の建物が競落されたようです。競落人から、借地権について譲渡承認を求められています。どのように対応したら良いでしょうか。」との相談を受けました。

借地人の債務不履行等により、建物にかかる抵当権等を金融機関等に実行され、借地上の建物が競落される場合があります。
この場合、建物の所有権は競落人に移転するとともに、借地権も同時に譲渡されたことになります。

その場合、競落人(新たな借地人)は、賃貸人に対して、借地権譲渡の承認を求める必要があります。
賃貸人の承諾がない場合、競落とはいえ、無断譲渡となり、賃貸借契約を解除されるリスクがあるからです(民法612条)。

賃貸人としては、実務上、譲渡承諾料を求めることが多く、その金額等について借地人が納得しない場合には、承諾をしないとの選択もあります。
もっとも、借地人より、「借地非訟」という裁判上の手続を申し立てられ(借地借家法20条1項)、裁判所の判断として、強制的に譲渡承諾が認められてしまうリスクも存在します。
なお、「競落」を理由とした上記借地非訟の申立ては、競落人において建物の代金を支払った後、2ヶ月以内に行う必要があります(借地借家法20条3項)。

借地非訟を申し立てられた賃貸人としては、承諾料について鑑定等により争う方法もありますが、借地権を自ら買い取ってしまうことも可能です(介入権。借地借家法20条2項・19条3項)。
他方で、借地人(競落人)においても、最終手段にはなりますが、建物買取請求権を行使することもあり得ます(借地借家法14条)。

上記の通り、様々な考慮要素が存在しますので、その場面に応じて適切な判断をする必要があります。
競落と譲渡承諾等について、ご参考になりましたら幸いです。

不動産競売と借地権譲渡
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