今回は、「明渡しの催告と執行」についてです。 先日、顧問先より、「建物の明渡しについて、強制執行手続を行う場合、どのような流れになるでしょうか。」との質問を受けました。 不動産の明渡しの強制執行手続について、今回は「催告」と「執行(断行)」に絞って説明致します。 まず、強制執行の申立てをしてから、執行官との打ち合わせを行い、明渡しの「催告日」を決めます。 催告日は、申立てから、基本的に2週間以内とされています(民事執行規則154条の3)。 催告日においては、まず、賃貸物件に執行官、立会人、賃貸人(代理人を含む)、執行補助者等が出向き、占有状況を確認します。 その後、実際に強制執行を行う日等を記載した公示書を物件内に貼り付けます(民事執行法168条の2)。 これにより、任意の明渡しを促す効果があり、債権者としても執行費用の支出を免れ得るというメリットがあります。 断行期日までに任意の明渡しが受けられなかった場合には、予定通り、建物明渡しの強制執行を断行します。 債務者が退去済みの場合において、残置動産がある場合には保管場所に運び込み、そのような残置物がない場合には、債権者の判断で新しい鍵に取り替えます。 債務者が在宅している場合には、荷物等を債務者に引き渡しますが、受け取らない場合には保管場所に運びます。 その後、債務者を実際に退去させた上で、債権者の判断で鍵を取り換えることになります。 これらの一連の目的を実現するために、必要な限度での威力行使はやむを得ないものとされています。 例えば、債務者が施錠して動産の搬出を拒む場合には鍵を壊すことや、債務者が家の中に居座って退去しない場合に債務者を連れ出すことは可能とされています(民事執行法6条)。 その後においても、動産の保管や売却等の手続が残されていますので、かなりの負担と労力がかかる手続となります。 少しでもご参考になりましたら幸いです。
明渡しの催告と執行