今回は、「無断欠勤と自然退職の取扱い」についてです。
先日、顧問先より、「無断欠勤を続けている従業員がいるのですが、当然に退職したものと扱ってよいでしょうか。」との質問を受けました。

従業員が無断欠勤をしており、連絡もつかず、対応に困っているという相談はよくあります。
この点、できれば退職届を提出させたり、合意退職の手続を取ることができればよいのですが、そもそも連絡がつかない場合もあります。

上記のケースに備えて、就業規則において、いわゆる「自然退職」に関する規定をしている会社も多いと思います。
そもそも、無断欠勤により当然に退職したものと扱うためには、就業規則において、そのような規定をしておくことが必要です。
具体的には、「○○日間無断欠勤を続けた場合は、その最終の日をもって自然退職したものとする」といった規定になります。

上記の期間としては、2週間から1か月を規定している会社が多いように思います。
もっとも、「従業員が所在不明となり、かつ、会社が当該従業員に対して出勤命令や解雇等の通知や意思表示をする通常の手段が全くなくなったとき」に限って自然退職を認めている裁判例もあります(東京地判令和2年2月4日)。
また、実際の業務に対する支障の程度や、出社要請の有無、無断欠勤の際の会社の対応等を重視して、無断欠勤を理由とする懲戒解雇等を無効と判断した裁判例もあります。

そのため、無断欠勤が断続的に続いている状況においては、会社による適切な対応を積み重ねておくことが重要といえそうです。
無断欠勤と自然退職
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