先日、顧問先の社長から相続について相談を受けました。
その際、養子縁組と代襲相続という2つの法的問題がありました。
まず、代襲相続とは、相続開始があった時点で、相続人である子が既に死亡している場合、死亡してしまった子に「子」(被相続人からみれば孫) がいれば、その子が代わって相続するという制度です。
この点、養子の子にも代襲相続が発生することになるのでしょうか。 特に養子縁組前に生まれた子について注意しなければならない点があります。
養子縁組前に生まれた子も、養子縁組後に生まれた子も、どちらも被相続人の相続開始時点で存在している養子の子ですから、いずれも代襲相続人 となるように思えます。
しかし、代襲相続を規定した民法887条2項但書において、「被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない」と定められています。
養子は、養親及び養親の血族と「養子縁組の日」から法定血族関係に入りますが(民法 727条)、養親は、その時点の養子の親族とは親族関係に立ちません。
したがって、養子縁組後に生まれた養子の子は被相続人の直系卑属として代襲相続することになりますが、養子縁組前に生まれていた養子の子は被 相続人の直系卑属とはならず、代襲相続は発生しません。
養子縁組時点において、既に子の子(孫)が存在しているかによって法的効果が異なりますので、十分に注意して頂ければと存じます。
養子の代襲相続