顧問先から「事業承継」に関する相談を受けることも多くなってきました。
その中で、「黄金株」についての相談も多くあります。

まず、黄金株といっても、そのような名称の株式は会社法上には存在しません。
正式には、拒否権付種類株式として、会社法上規定されています(会社法108条1項)。

その名称通り、拒否権付種類株式を有していれば、株主総会(又は取締役会等)において決議された事項についても、拒否権付種類株主総会において拒否権を行使することで、承認しないことができます。
すなわち、容易に決定事項を覆せるという点において、非常に強力な権利であり、黄金の価値がある株式といえることから、「黄金株」と呼ばれるようになりました。

例えば、後継者に経営権を譲り渡した社長や別会社に事業承継を行った社長が、黄金株を発行することで、いざというときに経営の根幹を確保しておく等の利用がされています。
会社の支配権維持、安定した事業承継を図る上で、有用な手段となりうるといえるでしょう。

しかし、黄金株を有していることでの注意点もあります。

まず、黄金株で後継者や譲受会社の経営判断を否定しすぎてしまうと、現経営陣との信頼関係が損なわれる可能性やモチベーション低下をもたらすおそれもあります。
また、他の株式と同様に黄金株も相続の対象となりますので、意図していなかった者が黄金株を行使しうることになる可能性があります。
さらに、会社の意思決定に際して、別途決議が必要になるわけですから、迅速な事業遂行に支障が出てしまうおそれもあります。

これらの注意点を念頭に置きつつ、黄金株という極めて強力な制度を利用しながら、事業承継等についての対策を講じていくことをお勧め致します。

黄金株=拒否権付種類株式
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