そのような場合に備えて何らかの担保を条件とする場合もありますが、全ての契約において担保を要求できるわけではありません。 この点、動産売買契約により売掛債権を有している場合など、民法311条に該当する場合には先取特権が生じ
売掛債権の仮差押の裁判管轄
先日、顧問先の会社から、取引先からの支払いが滞っているため、債権を保全するためのアドバイスを求められました。 状況を確認したところ、取引先の売掛債権を早急に仮差押すべきという状況でした。 仮差押手続をする際には、銀行口座
不動産に関する裁判外紛争解決機関
不動産取引に関する紛争解決機関の1つとして、不動産保証協会の聴聞会等の制度がございます(宅地建物取引業法64条の5)。 先日、顧問先会社の関係で上記「聴聞会」に同席する機会がありました。 裁判外という制度の性質上、裁判所
中小企業の事業承継の円滑化
中小企業の場合、事業承継を円滑に進めるためには、経営者が保有する株式等の事業用資産を後継者に集中的に取得させることが重要事項の一つであると考えられています。 しかし、オーナー経営者の個人資産の大部分が自社株式等の事業用資
営業機密指針の見直し
不正競争防止法では、営業秘密の不正取得・不正使用・不正開示行為等を不正競争行為と規定し、同行為を制限しています。 この点、営業秘密の範囲については、経済産業省の「営業秘密管理指針」にて定義され、 (1)秘密として管理され
事業用借地権の改正
平成20年1月1日より、改正借地借家法が施行されました。 従前の法律では、事業用借地権を20年以上設定することができず、土地を保有せずに業務施設を確保する手法として、事業用借地権の活用を望む企業から存続期間延長を求める声
取締役の競業避止義務
取締役は、自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき、当該取引につき重要な事実を開示して、株主総会の承認を受けなければならないとされています(会社法356条1項1号)。 同条の趣旨は、取締役が
消費生活用製品安全法の改正
以前、当職が日本経済新聞の質問に対して、生活用製品の長期使用により重大事故が起きた場合、企業の社会的責任は別として法的責任を問われにくいと説明したことがありました。 上記問題点に対応して、平成19年11月21日、改正消費
個人情報保護の厳格化
DM等の発送業務を他の企業へ委託し、個人情報を他の企業と共有した場合等に、重要な個人情報の流出が多く報道されています。 この点、平成19年12月15日付日本経済新聞によれば、経済産業省は、一般企業が持つ顧客の個人情報の流
海外における特許審査簡略化
現在、特許庁において、海外(米国・韓国・英国)における特許審査の簡略化という動きがございます。 これにより、国内で特許出願したものを海外で出願する場合、簡易な手続により審査を受けることが可能になると言われています。 上記
株式買取請求権
事業譲渡や合併等、株主総会の特別決議が必要な組織再編が生じた場合、議決権の有無に関わらず、反対株主には株式買取請求権が認められます(会社法469、785条 等)。 そして、会社は株式を「公正な価格」で買い取る義務を負うこ
日経新聞の取材掲載(PL法)
先日、日経新聞の記者の方と「販売してから30年以上経過後、三洋電機製の扇風機が 発火し死亡してしまった」事件に関して、製造物責任法等の話をする機会がありました。 上記事件について9月1日の日経新聞に当職の意見が掲載されて
法令適用事前確認手続
企業が、新商品の販売やサービスの提供を開始する際、当該新規事業が法令違反に該当するリスクがないか適切な判断ができず、有望なビジネスチャンスを逃してしまうケースもございます。 上記対策の一つとして、平成13年頃(各省庁によ
老朽化した賃貸物件の修繕費用
阪神大震災を教訓にして、平成7年にいわゆる耐震改修促進法が制定され、各都道府県及び特定不動産の所有者は、耐震診断を実施し、当該建物の改修に努めるよう求められています。 しかし、特に賃貸物件の場合、そのために必要とされる改
知的財産権訴訟の期間短縮
平成19年4月1日に施行された改正商標法にて小売業・卸売業の商標登録が可能になるなど、企業活動において知的財産権管理の重要性が高まっています。 この点、特許権等の知的財産権をめぐる民事訴訟の第1審にかかる期間が約1年とな
企業の事業継承
顧客や設備・技能等を有しているにも関わらず、後継者の育成がネックとなって廃業を迫られてしまう企業が多くございます。 このような事業継承問題を解決するため、政府は、後継者難で廃業を迫られている事業者と起業を目指す人を橋渡し
特許権及び商標権の将来性
会社にとって非常に価値あるものとして特許権及び商標権がございます。 しかし、特許権を維持していくために特許保有者は特許料を、商標権を維持するためには更新登録料を支払わなければなりません。 現在、国内の特許保有者は1特許に
労働契約と業務委託契約
業務効率化等のため、個人との間で業務委託契約を締結する企業もあると存じます。 大まかに言えば、業務委託は仕事の完成が目的となっている点で労働契約とは区別され、業務受託者には労働者としての地位はございません。 この点、労働
独禁法の再販価格維持の禁止
独占禁止法で禁止されている不公正な取引の1つに「再販売価格の拘束」がございます。 すなわち、商品の供給者は、供給先である事業者に対して、転売価格を指示することはできません(19条)。 公正取引委員会が認める特定の商品(医
株券不発行と定款変更
新会社法の施行により株券不発行が原則となりました。 しかし、今まで株券を発行していた会社については、登記官の職権により「株券発行会社」と登記されています。 そのため、株券不発行会社とするには、下記の通り、法律に則った手続
株券電子化と質権設定
株券電子化に伴う法的問題として質権設定がございます。 特に株券を相手方に渡す方法で質権を設定している場合(略式質)、株主名簿に権利関係が登録されていません。 そのため、担保として管理していた株券の担保価値を実質的に失う可
成功はゴミ箱の中に
本ブログではこれまで法律に関する情報を載せてきましたが、約1年が経過し、今後は法律以外にも経済や経営に関する当職の考え等も積極的に掲載していきたいと考えています。 今回はマクドナルドの創始者であるレイ・クロック氏の自伝「
並行輸入と特許権
並行輸入した製品を販売する際、当該製品の特許権が問題になる場合がございます。 この点、平成9年7月1日最高裁判例によれば、「我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は
真正商品の並行輸入
真正商品の並行輸入が商標権の侵害に該当するかという問題がございます。 この点、平成15年2月27日最高裁判例において、真正商品の並行輸入に該当するための要件は以下の3点とされています。 (1)並行輸入商品に付された商標が
定期借地権の活用
定期借地権には、 (1)一般定期借地権 (2)建物譲渡特約付借地権 (3)事業用借地権 の3種類の借地権がございます。 (1)一般定期借地権の存続期間は50年以上であり、借地権者は、期間満了後更地の状態で借地権設定者に土
退職従業員に対する競業避止義務
従業員が、退職後に競業関係にある会社へ転職してしまう場合がございます。 当該従業員が会社の営業上の秘密を知り得る立場にあった場合は、会社の権利が不当に侵害されることが懸念されます。 そこで、こうした事態を未然に防止する方
金銭債権の差押
債権回収が難航している場合に、直接債務者へ請求する以外に、債務者が有する売掛金等の金銭債権に対して差押をする方法がございます。 この点、差押命令が発令されると、第三債務者は、被差押債権を債務者へ支払うことが禁止され(民事
現物出資手続
会社法の改正により、会社設立時の最低資本金規定が廃止され、現在では、資本金1円で会社を設立することが可能です。 しかし、資本金1円では、取引先の信用を得られないこと等を懸念し、旧商法下の最低資本金額1000万円の出資を検
商標権侵害への対応
商標法に基づいて、商標権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用を独占し、他人による類似商標の使用等を排除することができます(商標法37条)。 具体的には、商標権の侵害に対する措置には、①差止請求、②損害賠償請
会社分割に伴う従業員の地位承継
会社分割制度を利用した場合、従業員の地位の承継が法的に問題になることが多いです。 この点、「会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」では、会社は会社分割について労働者の理解と協力を得るよう努めなければならないとして